中東紛争の整理 11/18

私の理解では、
中東の緊張が高まったのは、2006年か7年にイランが開発した長距離ミサイルが、イスラエルまでの距離をカバーし、マフムード・アフマディーネジャード大統領はイスラエルを国として認めていない。欧米の判断は、それが本当かどうか確認することから始まり、どうやら本当だということになった。(当時の佐藤優氏のラジオ解説より)

中東の火種は、欧米が作ったものである。
1915年のフサイン=マクマホン協定、1916年にイギリスとフランスの間で締結された「サイクスピコ協定(秘密条約)」と1917年のバルフォア宣言に遡る。フサイン=マクマホン協定、サイクスピコ協定は、アラブ人の居住地の独立支持を約束し、具体的な線引きをサイクスピコ条約で決めた。ここにロシアも絡むがひとまず置いておく。
それに対して、バルフォア宣言は、ヨーロッパ全体のユダヤ人を代表とするライオネル・ロスチャイルド伯爵(イギリス)に対して認めたもの。その後、ロシア革命でイギリスの結んだ協定が露呈することになり、このイギリスの三枚下外交が暴露されアラブ側の反抗を買う。細かな解釈はあるが、概ね間違いは無いはず。

インドの左右に何故パキスタンがあるのか?欧米がユーラシア大陸に地理上の火種を残すことで、将来的な利益確保を優位にすることは、よく知られている。

別の観点から書けば、ユダヤ人には、アシュケナジーとスファラディーの2種類がおり、古のユダヤ人はスファラディーでセム族のため皮膚も黄色で白人系ではなく、パレスチナでも共存していたらしい。1915年から1917年にかけて結ばれた協定で、ここに火種ができ、イスラエルが建国されたことで火事が起こった。

このアシュケナジー系ユダヤ人の話はルーツは、カザール帝国(ハザールとも言う)に遡ることができ、当時、キリスト教とイスラム教の双方から攻め込まれ改宗を求められ苦肉の末ユダヤ教を選択し、その後、帝国が解体し離散したのが、アシュケナジーのルーツであるとする。(アーサー・ケストラー「『ユダヤ人とは誰か―第13支族、カザール王国の謎』」より)これは有名な話なので、ご存じの方も多いだろう。

しかし、元はと言えば、ユダヤ教もイスラム教もキリスト教もルーツはアブラハムの宗教として同じである。

頭と体は分離できない

夜、妻と公園を散歩する。歩きながら話すと話がはずむ。

事務所に高さ110cmの仕事用テーブルを昔設置したのだが、長らく使っていなかった。明日使ってみよう。
このテーブルは昔、埼玉のキヤノン販売が立って会議を行うと非常に効率が上がったというので真似てみた。

頭と体は本来分離できない。体がなまると気持ちもダレるし頭が働かないのは当然のこと、筋肉が衰えると外部からの衝撃に弱くなる。

12月にインドに行くので妻とインドと日本の関係を話す。
直感だが螺旋が関係している。
縄文土器は渦が巻いている。
文化のルーツともいえるインドと東のはての日本が通底している。

タイラー・コーエンの「大停滞」、「インセンティブ」、「創造的破壊」、「フレーミング」

土日でタイラー・コーエンの「大停滞」、「インセンティブ」、「創造的破壊」、「フレーミング」に目を通す。
ゲーム理論について基礎を勉強。

「大停滞」は、1980年代移行で賃金は上がっていないし、インターネット以外の目新しい技術革新は無いという前提で、そのことを実証的に数値を上げて書いている。政府が税金として徴収できる「刈り取れる果実」が無くなってきている。
ネットは構造的な変容に関係しているので、参加したもの参加していないものの差が激しくなるという今まで語られてきた意見も。このネットの技術革新が、恩恵をもたらす反面、大きな収入をもたらさないことも指摘。この傾向は、「フリー」のクリス・アンダーソンまで行き、企業にとって収益の上げ方が変わる。ネットの登場で家電など価格競争にさらされるのは当然で、商品のライフサイクルも短くなり売れる商品と売れない商品の二極化が進み、社会全体にデフレ圧力が高まるのは必然であり、大量生産大量消費型のマーケットからユーザーオリエンテッドなマーケットに構造変容するのは仕方ないこと。
最後は、イノベーションをもたらす科学者の地位向上を図れ、というところで結ばれている。レオナルド・ダヴィンチは、芸術家として有名だが科学者としての側面が軽んじられているとも。
昔、ゼロサムという言葉が流行ったが、これは市場経済がゼロサム成長であるとは言い切れないので、今は語られない。ゼロサムがパイの食い合いを重商主義とセットで語られていることが多いということを若田部さんの著作でキーワードとして語れていることで学ぶ。

「インセンティブ」実に豊富な例が紹介されている。以下、目次:「内なるエコノミスト」の声がもたらすインセンティブ、実際のお金、ビジネス文化、芸術作品と自己愛、自分に有利になるようなシグナリングとその心理のケース紹介、自己欺瞞の欠点と美徳を支える点、とにかく美味しく食べる極めつけの極意で自分に有利な方向に変える例、七つの大罪(傲慢、強欲、放蕩のちの色欲、嫉妬、暴食、憤怒、怠惰、クリスマスプレゼントは世界を救うだろうか=他人を助けるための助言)、内なるエコノミストとわれらの文明の未来。インセンティブの心理的要素を豊富な例で紹介。)

「創造的破壊」
シュンペーターのキーワードを、コーエンが現代で文化を中心に検証。グローバリズムが逆に文化の多様性を生み出しているという説を貿易利益モデルから紹介。「文化の同一化と差異化は同時に起こることが多い。」「多用性とは、集団を互いに孤立させる機能ではなく、集団同士を互いに結びつける関係である。(クロード・レヴィストロース)」「異文化間交易は、それぞれの社会を改変し崩壊させるが、結局はイノベーションを支え、人間の創造力を持続させることになる」。またエートスの脆弱性と諸問題として異文化交易を検証。ミネルヴァモデルとして交易がエートスを壊滅させるより先にエートスの創造的成果を流通させること。多様性のパラドックスつまり多様性という価値観の受容を拒む社会があったほうが世界の多様性が進むというGは苦節の紹介。アメリカの文化帝国主義について。最小公分母効果は、異文化交易の結果生まれる多様性として、つまり万人に向けた製品は逆に衆愚化するため、文化はおのずとこの分母を守ろうとする。国民文化は重要なのか、など。
日本への序文が付いている。震災後、日本人の創造力がきっと日本を立ち直らせるという応援メッセージ。確かに日本の持つ異文化を受容して創造する力は非常に高いことが知られているし、日本人の変わり方そのものは変わらないいうこの強さを失ったとき、日本は本当にヤバイとなる。

ゲーム理論については、経済でも政治でも参考になる。経済ではインセンティブがゲーム理論に関係するのだろう。
ゲーム理論入門という下記の紹介が参考になった。
http://ha1.seikyou.ne.jp/home/yus/ecolab/game.html
非協力ゲーム理論の無限回数型については、国際政治での適用が語られるだろう。尖閣をめぐる対立は、ゲーム理論的に言えば、中国のためにも日本のためにもならなかったはず。日本も中国側を読み誤まり損をした。損を得にしているとすれば日本の企業が、この対立が続かないことを読み、無償で車を修理したりしていること。この判断は先を読んでいる。
韓国については、ハンの思想を知る必要があるだろう。韓国は自殺率が非常に高く、高麗大学のアンケートで再び生まれるとしたら韓国に生まれたいか?という質問の答えが、なんと5割しかなかったことは知っておくべきだろう。ゲーム理論で複雑化したときの集合的考え方は専門領域に入るので、今後。

あと行きつけのスパに行ってスチームサウナに入り、DVDを4本見て週末はおしまい。ショーシャンクの空の下で、を再度観る。脚本が優れている。脱出テーマは、いつ観ても引き込まれる。

時間と記憶 ふと気がついたこと

ふと気がついたこと。

関係を築くには、壊す時間の5倍以上の時間がかかる。

洞窟に壁画を描き始めたときから人類には知性を物質化する能力が顕在化したが、同時に記憶を定着させることにもつながった。恨みは記憶と結びついている。恨みを消すには喜びや幸せだと感じる量を5倍以上に増やすことで忘却させることができるだろう。

時代の中で情報が密になってくると、ちょっとしたきっかけで情報が物質化して顕在化してくる。棚上げされていた尖閣の問題も然り。液体の中で濃度がある密度を越えて結晶化してくる化学的反応に近い。平和は結晶化せず流動性と運動の中で対象化されること無く交流する。

世界各国で政治が機能しなくなってきているので、地域紛争がますます増えるだろう。マクロでは問題の解決が先送りされ、ミクロの張り巡らされたネットワークから立ち上がってくるもの、そちらに重心が移ってきている。

希望はどこにあるんだろうか

今週は、 T さんと会食。宇宙エレベーターの話を聞く。地球の軌道上に基地を作り、地球とその基地をエレベーターで結び、地球の回転に合わせるという壮大な計画で、アーサー・C・クラークの発案らしい。私もこの話は知っていて、2050年頃にNASAが完成させる予定で進められていると話し盛り上がる。赤道上に構築するらしい。
私はこの話を知ったのは、太陽光発電がこのシステムで成立すると、数万倍もの電力を作ることができるということからだった。核廃棄物の問題も地球の外に捨てさせてもらって解決するだろう。今は宇宙語膨張してる段階なので、この廃棄物の問題も大丈夫かもしれないが、何十億年もたって宇宙が収縮する段階に入った時、戻ってくる可能性もあるかもしれない。
いずれにしてもこういうぶっ飛んだ話は、面白い。
そのあとは、江戸の話で盛り上がる。
江戸時代の性がいかに豊かだったかというところで、性の話は明るくおおらかに語るにこしたことはない。現代文明のダークなところは、ほとんどが性の歪曲に起因しているだろうから、閉じれば閉じるほど、塞げば塞ぐほど、いびつさが出てくる。難しいところだ。

土日は読書。若田部昌澄さんの「日銀デフレ」「本当の経済の話をしよう」を読了。リフレ派の論客として有名な若田部さんの著作。
日銀デフレは、あの官僚制度どっぷりの体質とリフレ派から見たら逆ばかり施策する日銀の歴史を読む。日銀にとってインフレが恐怖になっていること。今の日銀法が1997年か8年に棚からぼた餅で改正となり、日銀の独立性が保証された経緯。旧法は昭和17年か8年に制定された。
デフレ時代に逆をやるもんだからたまったもんじゃない。これはクルーグマンあたりも日銀批判は行っていて、90年代後半に速水総裁が、バブル後の金融引き締めという逆の施策を打ったため、日本のデフレ脱却がほぼ無理になったことは指摘している。
本当の経済の話をしようは、インセンティブ、トレード、含め4つのキーワードで経済を説明できるとても分かりやすい良書。インセンティブは誘因と訳され、内的な要因であるモチベーションとは区別されている。インセンティブを広義で捉えたほうがいいだろう。従ってどんな選択が得になるかシミュレーションするゲーム理論も射程に入る。笑ったのは、2歳の弟のトイレ付き添いでインセンティブがもらえる5歳の姉が、弟を頻繁にトイレに行くようにするため、水を飲ませるという下り。まあ、こういうのもある。
同じくインセンティブについて書かれたタイラー・コーエンの著作を予約。
心理学と経済が融合したミクロ経済についての良書で25年かけて書かれた著作、八田達也さんの「ミクロ経済」も予約。

マクロで明るい材料って無いんですよね。だから鬱的な時代になっている。
そんな状況の中で、人と人の関係、そこから生まれる創造的エネルギーについては、未来がある。というところでミクロ経済のお勉強はこれから。

先週の金曜日は、アメリカの雇用統計の発表があり、良い数字だったが、本当だろうか?元GEのジャック・ウェルチも疑念をコメントしていたが、6日に大統領選挙なので、悪い数字が出ると現政権にとってマイナス材料となるため、裏で何か作為があっても不思議はない。CNNでは、コーネル大学を出てもスーパーの裏方仕事しかない学生が、いかにアメリカでも20代で仕事が無いかを訴えていた。これは日本も中国も同じ。日本では非正規雇用が20代で5割まで達しているし。
今春卒業してベンチャー系の会社に就職した元大学院生の知り合いも、先日会ったところ、昔の元気さは無くなっていた。企業が効率化を求める結果、20代の人たちを機械のように酷使する傾向は益々強くなっているのだろう。育てる余裕が無くなっているようだ。育てるためには、失敗を許容し、フィードバックさせ、精神的にも成長できるよう見守る必要があるが、統計上でも20代の労働時間が増え続けており、いずれロスジェネの逆襲が起こる可能性もある。つまりスピンアウトして、俺たちで会社作っちゃうもんねえ、という当たり前の傾向が、いずれ起こることの方が望ましい。
今の家電業界では既にこのスピンアウトで独立していく若い人たちが出てきているようだ。
うん、頑張れ、ロスジェネ世代!