日本の文芸評論家として有名な、小林秀雄さんの講演CDを聞いた。
その中で、「感動は矛盾を超える」と語られている。
本居宣長を最後に書かれたが、「宣長さんに感動したから」と素直に語られている。
今は亡き池田晶子さんが、小林秀雄さんを尊敬していたことは有名だ。
初めにCDを聴いたとき、思ったよりトーンが高いんだなあというのが印象だった。後から知るに、落語家の古今亭志ん生の話しっぷりを聴きこんだという。
訴えてくるその力に、深さと熱さを感じた。
人が感動するにはボルテージの高さが必要だ。そのボルテージは、日々ギリギリのところで生きているという現状認識から生まれている。
これを超えないと次がない、これを今分らないと次がない、そういう現状認識だ。
青山二郎は、小林秀雄にはセックスアピールがあると言った。
小林秀雄さんは、自分は秀才だが、青山二郎は天才だといった。
小林秀雄さんの妹さんが、兄のことを書かれているが、青年期での中原中也との間で起こった女性事件で、どれだけ苦しまれたかそのことを書かれていた。その苦しみが、後々の評論活動に深さを持たらしたと思う。
「感動は矛盾を超える」、すばらしい言葉だ。