上野の国立博物館で開催されている「縄文展」に行ってきた。
国内で開催された縄文の展示会で最大規模だろう。
最古は7000年前から1万年前の土器まで展示されている。
初期の土器でも縁取りにデザインが施されており土器全体にも紋様が施されている。世界の四大文明に比べていち早く創意工夫が生まれているのは驚きだ。
有名な中期に生まれた火炎式土器の展示で考えてみた。
機能を無視して燃え上がるような形態を創り上げた縄文人の状態になってみると、遊び心があったんだろうという結論。土器を創り上げるには抱きかかえるように作ったと推測するが、機能ではなくエネルギーがある曲線やそこから吹き上がるようなフォルムの数々を生み出す遊び心。皆で創り上げた土器を鑑賞し合って面白がる文化。縄文人のコミュニティが統制された政治的形態とは無縁の集団的エネルギーに満ちていることを感じる。
縄文人は主食が木の実、魚など豊富な自然からの恵みで生活している。後期の三内丸山でも集落は300人くらいと推定されているので、初期や中期では50人くらい。早死も多く平均寿命は30歳くらいとされている。生まれてすぐに亡くなる子供たちも多い。集落の周りには墓地もあり、死が身近で忌み嫌われるものでは無かったことを示している。
日本各地での交流もあったことは、新潟で採取される翡翠が他の離れた地域でも見つかることから分かる。翡翠も芸術的な趣向が見られる。
興味深い展示として、同時代のエジプトやチグリスユーフラテスなど世界の四大文明でどのような土器が作られていたかが比較展示されていたこと。デザインがまるで違う。他の文明では直線が多いのに対して、縄文は曲線、そして渦で構成されている。エネルギーが自然と一体となって上昇と拡大に向かう人間の生命の歓喜。
縄文人は、自然との一体感を生き、そして遊び創意工夫して生活を楽しんだ、そんな直感が生まれた展示会だった。