人は未来しかコントロールできない

8月末から受験生が週二回事務所で勉強している。女友達から息子がダレダレ状態なので、と相談を受けたのが始まりだった。じゃ、うちの事務所のデスクが空いているから勉強させるか、と申し出たところ親子揃って面談となった。

受験科目を取材する。

日本史で何が面白かったかと聞いてみると、良い先生が一人居たのだが一ヶ月で辞めてしまったという。その先生は面白かったらしい。しかしあらゆるところに言い訳が出てきた。話を聞いていると頭に蓋をされているような印象を受けた。親子関係にありがちなエディプスコンプレックスで、尚且つ母親から息子へのネガ表現が蓋になっていた。特に母親が息子を褒めていない。

「この子は人より二倍時間がかかるので、、、、」

ナントという禁句!

反抗はするが最後は日常生活の中で父親を否定し、気持ちのいい母親のほうへ無意識になびくのがエディプスコンプレックスだとすると、現状がよく分かった。

先ず、日本史で面白いと思った先生が他に居るか?と訊いたところ居ないという。じゃ、君がその面白いと思った先生になりきって私に毎回5分教えてくれ、と反転させた。

そして誰の本をよく読んでいるかと訊けば、佐藤優さんだと言う。佐藤さんは大宅ノンフィクション賞を受賞した作品以来、私も多く読んでいたので分かる。ミッションを持って書いているところが違う。強い。信仰を持った強さというより、神学を一度、脱構築して外交の現場でインテリジェンスとして磨きを掛けた強さとも言うべき強靱な知性が若者にも伝わっている。

佐藤さんが1日6時間読書し6時間は執筆していることを知っていたので、顔入りHPを印刷し受験生のデスクに貼らせた。

3ヶ月の期間限定で勉強させているが、お母さんから見違えるほど変わったという感謝メールが来た。嬉しい。

このまま行けば年下の友人になるだろう。

人間は未来しかコントロールできない。子どもにとって過去ベースで物を言う大人は大敵だ。

そしてに未来を創造できるのは人間だけなのである。