現在の金融危機に対して、いくつかの観点がある。
私にはイギリスの産業革命以来続いてきた近代化と市場原理主義、そして金融システムの行き詰まりが最も大局的な観点になると思っている。
300数十年に一度の変化することになる。
元FRB理事長のグリーンスパンは、100年に一度の金融不安であるという。これは明らかに1929年の世界恐慌との比較であって、資本主義が内蔵しているバブルと恐慌の最も大きな波として捉えた場合の観点になる。実務家であっても、これくらい長いスパンでとらえている。
昨年、2007年8月に金融不安で金融商品が大きく下げたときに、97年98年のアジア通貨危機に比較されることが多かったと思う。アジア通貨危機は、経済の実態に対して流れ込んでいる資金が過剰でありバブルと判断したジョージ・ソロスがタイバーツの猛烈な売りを浴びせかはけたことから始まる。そして98年のロシアの通貨危機。ジョージ・ソロスは、タイバーツの売りで莫大な利益を上げ、逆にロシアの通貨危機では損失を出している。いずれにしても世界は90年代の後半デフレからの脱却が、この金融危機によって遅れた。
金融商品は、上がるのは徐々にしか上がらないが、下げる時はあっという間に下げる。これは上げるときは皆が暗黙のうちにこれは上がるだろうと予想し、つまりケインズの美人投票をしている。下げる時に勢いがつくのは、今まで上がると思って買っていた人たちが、恐怖によって売るからである。相場の世界では損切りという言葉があるが、次々と損切りされることによって値が走ることになる。
金融商品は、その多くが売りでも買いでも利益を上げることができる。(株の空売りがある)
ジョージ・ソロスのクォンタムファンドは、設立からたしか10年ほどは、年間4000%ほどの利益を上げていたと思う。ヘッジファンドは世界に約6000あるが、昨年から利益を生むのには苦戦している。今まで決まった容量の池に少数のヘッジファンドが跋扈したため、数千%の収益が可能であったが、現在はヘッジファンドの数が多くなりすぎたため、ジョージソロスのところでも年間十数%の利益還元となっているらしい。
現在の資本主義が存命する上で、中国・インド・ロシア・ブラジルの開発と成長が必須となるわけだが、中国が今までのアメリカの役割を果たすことはなく、そういう意味では世界は帝国の崩壊と多極化に向かっている。
アジアを一つとしてとらえるときに、文化・宗教の違い、格差などまだまだ課題は多いが、日本が今後生き延びていく上で、特に中国とインドとの関係は欠かせない。
小泉内閣のグローバリズムは、アメリカと心中する政策であり、戦後の成長期にとられた政策が状況にあってないまま引き継がれていることを考えると、今度の衆議院選挙は、戦後日本が初めて体験するパラダイムシフトになるかもしれない。
グローバーリズムは、それが進めば進むほど、ローカルでの独自性が問われるという逆説を念頭に入れておく必要がある。情報、貨幣、流通さまざまな面において、世界間での相互依存性は高まっているが、それぞれの国が持っている文化、強み、豊かさ、創造性がなくしては、この世界的な相互依存性の中で生き延びていくことは難しい。
今回始まったデフレは、100年続くという説がある。あながち外れてはいないだろう。
選挙は、どこに入れようとも個人の自由だが、自民党のウルトラCだけは理解しておいた方が良い。
つまり
皆が選挙にいかれるとヤバイ。選挙に行っても、何も変わらないでしょう、というウルトラCである。
だから、選挙に行こう!