アジアの未来

イランと中国が原油の決済で元を使うことになった。
BRICsのポストアメリカ体制の第一弾だが、5年ほど前、イランが円での決済を求めたが、日本は応じられなかった。
原油価格は、108ドルから今日現在、バレルで98ドルあたり。
70年代のオイルショックで原油の独自ルートを開拓しなければならなかった日本は、イランとの関係を築き上げた訳だが、この一点について、アメリカの横やりを跳ね返す気概があったのだが、今や、国内政治のガタガタ状況で、すべてが後手に回っている。
5年前、イランに行った。
まずホテルで目に付くのは、中国人が多いこと。それも企業のマネージャークラスが多く、仕立てのいいスーツを着ていることから分かる。
中国は、2007年に6兆円ほどのプロジェクトを組んだはず。
アメリカにとって原油の決済でドルが使われないと、一大事であり、原油~ドルを利用した世界の資金環流システムに崩れ、ドル安を誘導した自国利益の還流システムも崩れる。
本来、アメリカにとっては、ドル安のほうが原油で上がる利益も増大し、良かったのだ。
あきらかにアメリカの世界覇権に対するアンチテーゼが、このような現実として現れてきた。
アメリカが世界覇権を維持するために刷った国債は、レーガン政権時代に雪だるま式に膨れあがり、5000兆円と言われる双子の赤字として有名である。この赤字前提であっても、世界がドル中心に回るという前提だから維持できていた。ぶっ飛んでも困るが、このままでも困る。
BRICsの中でもロシアは、90年代英米に通貨含めボロボロにやられたので、プーチンの対アメリカ口撃は凄まじい。

ソ連の崩壊で世界の枠組みが変わり、アメリカは、ユーラシア大陸へのコミットメントを強くし、ユーラシアでの敵対勢力を排除することが外交の基本戦略となった。
世界人口の75%を有するユーラシア大陸へアメリカが覇権をどう維持するかに主眼が置かれており、中国に対して包囲網を作る戦略は、一週間ほど前に発表された日米印(日本〜アメリカ〜インド)協定、そしてTPPで明らかである。
アメリカの中国政策は、ニクソンの訪中から始まり、1989年の天安門事件を契機にしているだろう。天安門もおかしな話で、当時のゴルバチェフ大統領が北京を訪れて、世界中のメディアが集まる中で起こった事件だが、天安門事件を人権問題でクローズアップし、その後に、アメリカの多国籍企業が中国進出を果たしている。

小沢一郎氏の件は、要するにアメリカとの関係で生じた。
検察審査会に提出された検察のでっちあげ報告書の問題は、やっとマスメディアにおいても出てきたが、大きな扱いではないのが残念である。まだ残されている問題は、検察審査会の平均年齢が、30.5歳という確率的にはありえない数字の問題。任意にコンピュータソフトで抽出されたというこのソフト開発に疑惑が生まれている。

特に読売系の報道はひどい。正力松太郎とアメリカの関係でこれはあきらかだが。朝日、毎日もしかり。毎日などは、小沢一郎氏の顔に良い印象をもっていない老婆のコメントも掲載する始末で、マスメディアがこんな世間の印象批評を掲載するのだから、すでに終わっている。(顔については、中央の朝廷から平和的独立を果たそうとして東北の英雄アテルイを参照してほしい。アテルイについては、高橋克彦氏の「火怨」でよく理解できる)
日本は、新聞とTVが株を持ち合っており、これはメディアが権力を持ってしまわないために、欧米では禁止されている。というか根拠のない空気に便乗しているだけだと思う。
ただ、週刊誌は同じ系列であっても、新聞と方針が異なる記事が出てくる。系列内でも小沢氏をめぐるマスメディア報道のあり方に疑問を有し危機感を持っている記者たちが、相当数存在することが分かる。週刊誌は、新聞や下請けをこき使うTVのように恵まれていない。ぎりぎりの経営の中から本当のことを言わないと生き残れないという週刊誌の内部状況が生まれているのかもしれない。

反米でも非米でもない(これは小沢一郎氏の言葉だが)世界の多極化がすでに始まっている事実を理解し、アジアの国同士で戦争を起こさせたり、内部分裂を画策する良からぬ動きをけん制し、この豊かな地域から次の時代が躍動してくることを祈っている。
アジアは一つではないが、多様性を相互に認めて豊かに礼節をもって生きる存在の豊かさが鍵となる。キリスト教は聖典を元にしたあのアルフレッド・ゴア元副大統領が言った「聖書の民よ、集まれ」で代表される。アジアは違う。違う良さがある。

先日調べていたのだが、古代日本と古代インドをつなぐものがある。キーワードは「螺旋」だと思った。縄文の土器に直線はなく、すべて螺旋。また、ガンジーが影響を受けたジャイナ教は古神道に通じるものがあるのだろう。
いずれ書こうと思う。

明治以降、日本はヨーロッパを使って整理をしてきたところがあるので、アジアについては、疎い。文化も宗教も。
井筒俊彦氏の初期の作品でソクラテス以前を扱った「神秘哲学」という初期の重要な著作があるが、そこで、ディオニソスがアジアから来たと。これまた知らなかった。

台湾や中国の友人たちが懐かしい。

8/1付
米、中国の銀行に制裁 イランとの取引で
http://www.47news.jp/CN/201208/CN2012080101001246.html