サトウのメンチカツを買うために行列の中で待っている間、吉祥寺の街は、秋の夕暮れで優しい光にみちていた。
休日で街もくつろぎ、笑顔で華やいでいる。
ささやかだけれど生活に暖かさがこもる人たちが行き交う。
高校1年の時、当時好きだった同級生の女の子から年賀状をもらった。
そこにはこんな言葉が書いてあった。
「群衆の中でこそ、孤独を感じる」
言葉は正確ではないかもしれないが、そういうメッセージだった。
彼女は聡明だったけれど、大学の教職には、まだまだ分厚い男社会の壁に阻まれ、就職した。
お父さんから譲り受けた政治観が、彼女を女性としては、疎外していく、そんなふうに感じていた。そしてお付き合いは成就しなかった。
街は自己組織化の網目を拡げ、その枝には、男と女、良いものが欲しい、そういう市場経済の要素が一つ一つエンジンとなって空間を作っている。
今日は、妻が大好きなサトウのメンチカツを、ナント、40分並んで買う秋の夕暮れ也。
全然孤独じゃないんだけどなあ。彼女、幸せに暮らしていて欲しい。